戦国の花嫁 −月の綺麗な晩の事−■■■02■


そっと抱き上げて、褥に横たえる。
舌を絡ませながら、胸の膨らみを堪能する。揉むほど、でかくなると言うのは本当だろうか?両の手に余るほど、とは言わないが、大きくなるのにこしたことはないと思う。
小振りなそれの頂きは、まだ未熟と言ってよく、弄ると痛みの方が強いのではないかと言うような固さだから、ゆっくりと親指の腹で転がす。やはりまだ良くは感じないのだろう、眉根を顰めたので、口づけを落として解放し、両の膨らみに触れる。やわやわと揉みしだくと、己の自由に形を変えるその柔らかさは、何度触れても不思議だと思うし、飽きない。舌を這わせると、甘い香りが口に広がる。味わえば味わう程に甘い肌は、しっとりとして滑らかだ。そう言えば、おいしそうに砂糖菓子を口にしていた姿を思い出す。その姿をみては、そんな甘いだけのものをよく口に出来るものだと思ったのだが、わしも存外甘いものが好きだったらしい。それに気付き、笑みが浮かんでくる。
脇腹をなで上げると、悩まし気な声が上がった。
そんな声を上げた自分が信じられなかったのだろう、瞳を大きく見開いて、こちらを見つめる姿が、なんとも初初しくて、愛おしかった。
「感じるままに、鳴けばいい」
感じたであろう腰の窪みをもう一度なでると、今度は、声と共に、びくびくと体を踊らせる。
笑みを湛えたまま…いや、正確に言うと止められないまま、大腿を担ぎ上げて、裾を割り入り、泉の縁に指で円を描く。
恥らえば恥らうほど感じるらしく、中を触っていないのに、そばを触れる指先に絡みついてきた蜜を、舌で音を立てながら味わう。
「…そなたの蜜は、甘いな」
わしの言葉に絶句したような表情をして顔を両手で覆うが、気にも留めることなく、溢れんばかりに蜜を湛える泉に、口を寄せる。
ちゅ、ちゅ、ずずと吸い上げると、すぐにまた甘い香りが広がる。舌で舐め上げ、舐め上げ、その味を楽しむ。 こんなにも甘かっただろうかと思わせるほど、濃厚な味と香りにわしは溺れる。
溢れてくる蜜では足りず、舌を泉に侵入させ、力強く吸い寄せると、蜜壷に入った舌から勢いよく蜜が口内に流し込まれる。ごくり、と飲み下し、もう一度繰り返すと、彼女の腰が揺れ始める。
口は蜜壷に沿わせたまま、僅かに視線を上げて、表情を覗うが、羞恥心がまだ抜けないのか、両手を覆ったままだ。 大胆な事を言うようになったと思ったが、まだまだだな。
そんなことを考えながら、わしは、おもむろに玉に指をやる。
んっと漏れる声に、刺激を強めてやる。カリカリとつめ先で遊ぶようにしては、思い出したように、指の腹で擦ってやると、呆気なく達する。

まるで違う体のようだな、と思った。

わしの知っている体は、ここまで素直なものではなかった。
確かに、自分の教えたとおりに従順に反応はするのだが、自制心や理性の強い彼女は、限界まで我慢するのだ。我慢して、我慢して、耐えられなくなって、限界を迎える。
だから、いつも達すると、暫くはこちらの世界に戻ってこない。

しかし、今日の彼女は、違った。
恥じらいはいつもと同じであるし、我慢もしているのは、感じられた。
それは、彼女も感じていたようで、わしの視線を恥じるようにして、見ないで恥ずかしい、と弱弱しく吐く。

「今日は、やけに感じやすいな。そなたも燃えてるのか?」
「ちが…そんなこと、言わないで。恥ずかしい」
「まぁ、どちらでも変わらないが。わしがお前を求めているのには変わりはないし、感度が好いのも事実だからな」
「ちがうの。体が、おかしいのです」
「つまり、狂喜しているのは、わしだけではないって事か?」
「う・・・し・・知りません」
「だが、わしの子が欲しいのだろう?」
「はい、欲しいです」
「わしが、好きか?」
押し黙る。まったくもって可愛い娘だ。
つぷりと先を咥えさせると恍惚とした色で瞳が染まっていく。
大分、女の顔になってきたものだ。
「何人目で、口にするか、見ものだな」
「え?」
疑問を顔に出した彼女を無視するような形で、そこから、一気に奥へ突き上げる。
軽く達した彼女の中は、キツく蠢く。その締め付けに、意識が飛びそうになる。やはり今夜は、格別らしい。膝裏を持ち上げて、担ぎ上げるようにして、律動を早める。彼女の中を楽しむと言うより、己の欲望のままに、腰を振る。それくらいに、今のわしには余裕がないらしい事に気付いて苦笑するが、どうにも制御できそうになかったから、その快楽に埋もれる。
せめてもの侘びに、彼女の名前を何度も口にしながら、彼女の願いの通り、子が出来ればいい、とそんな事を思いながら、己を解放した。
そんな事で、彼女がわしに笑顔を向け、思いを告げてくれるのなら、何度だって望みを叶えてやる。


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「殿は、気長な方なのですね」
「うん?」
問い返せば、彼女は、首を少し振って、口を閉じた。目も、今にも閉じてしまいそうだった。

気長?
誰が?
殿と言っていたか?
殿とは、わしだろうな。
しかし、そう考えても、気長なる性を自分の中に見出だせず、首をかしげる。
わしは、短気の中の短気だか…。

泣かせ足りないのか?

気長とは、どういう事か、と口を開きかけたが、すでに、彼女は夢路であった。

子を授けてくれ、か。
誤魔化された気がしないでもないが、なんとも、男冥利に尽きる言葉だと思う。
家のための、男子ではなく、悲しみを分かち合うための、寂しさを紛らすための子供。
わしが戦死するのが前提な気がして、少し納得しかねる気がしないでもないが、怖がりな彼女の安らぎになればいいと思う。

■FIN■■■

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